音色を描いて
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期限は迫っているんだけど、もし良かったら使ってね──
そう言って美奈子さんから手渡されたのは遊園地のチケット。
それも二枚。
一人で二回行くという手もあるけれど、そんなに何度も休みを取れるはずもなく。
必然的に誰かを誘わなければならなくなってしまった。
ああ、正直面倒くさい。
誘われれば行くこともあるけれど、自分から誰かを遊園地に誘うだなんて、私にとっては未知の体験だ。
客足もまばらだったので店内でホットココアとたっぷりベリーのパンケーキを食べながら遊園地のチケットと睨めっこをしていると、私の目の前に誰かが腰を落とした。
「ことりちゃん、難しい顔をしてどうしたの?」
視線を上げるよりも早く、私の耳に声が届く。
この声はシンくんだ。
シンくんは小首を傾げて、私の手にあるチケットを真っ直ぐに見つめる。
暗に私が持っているそのチケットは何か、と問われているのを理解した私はシンくんに見えるように向きを変えてから、すっとテーブルの上に差し出した。
シンくんは興味津々といった様子で、チケットを覗き込んだ。
「遊園地のチケット、だね」
「さっき美奈子さんからもらいました」
期限が近いから、と一言添えて。
期限?と呟いたシンくんはもう一度チケットに視線を落とした。
「ほんとだ。あと一週間しかないんだね」
シンくんはうーんと唸ったあと、小さく一度頷いた。