蒼穹への祈り
夢小説設定
ご利用の端末、あるいはブラウザ設定では夢小説機能をご利用になることができません。
古いスマートフォン端末や、一部ブラウザのプライベートブラウジング機能をご利用の際は、機能に制限が掛かることがございます。
「分かった。一回だけだからね」
「あぁ」
アルトははにかんで、小さく笑う。
…どうしてそんなにも嬉しそうな顔をするかな。
アルトの趣味を少し疑ってしまいそうになるじゃないか。
私はアルトから小包を受け取って、寝室へ向かった。
部屋に入って電気を点ける。
そして一つ言い忘れていたことを思い出す。
くるり、と振り返ってアルトに一言。
「覗くなよ」
「覗かねぇよ!」
冗談に決まってるのに。
本気にして赤くなって反論するアルトが可愛らしい。
本人を前にしてそんなことを言おうものなら絶対に怒るから言わないけど。
ベッドに小包から出した射手座の軍服を放り投げる。
うがった物の見方しかできない自分を疎ましく思うけれど、どう考えてもこの衣装からは悪意しか感じない。
しかし今さらそんなことを言っても仕方がないし、次にシェリルに会ったときに色々と根掘り葉掘り質問攻めにされるに決まっている。
その日のことを想像して盛大な溜息を零してから、私は着ていた服を勢いよく投げ捨てた。
***
今更だけど、シェリルはこんなにも露出度の高い服を着ていたのか。
私だったら間違ったってこんな服を買わないし、買おうとも思わない。
というか衣装だといって用意されていたとしても絶対に着ない。
シェリルが寄越した手紙には「業者がサイズを間違って仕上げた」と書かれていたけれど、あれは絶対に全くの嘘だ。
今しがた届けられたこの衣装は明らかに私向けのサイズに作られている。
シェリルが私に着せて楽しむためにわざわざ発注したのは火を見るよりも明らかだ。
どうせなら直接見たいと考えるのが普通ではあると思うけれど、こうして衣装だけが送られてきたということは、仕事が忙しいのだろう。
そういえば思い返してみれば、長いこと会っていない。
一時期毎日のように顔を突き合わせていた頃があったけれど、あの時が特殊で、異常なことだったのだろう。
用意されていた全ての衣服を身に付け、最後に帽子をかぶる。
そして寝室にある全身鏡に映る自分自身の姿をちらりと一瞥し、軽く絶望してから私は部屋を出た。
「……」
「……」
互いに無言。
それでもアルトは私から目をそらすことだけはしなかった。
「何かコメントは?」
私の言葉で我に返ったアルトは何故か疑問系で返答してきた。
「似合ってる?」
「何故疑問系?」
「いや、なんというかサイズはぴったりだし、綺麗だし可愛くもあるんだけど──」
本当に真剣に私が返した言葉に対して悩んでいるんだろう。
普段なら言ってもくれない「可愛い」や「綺麗」なんて言葉を平然と口にしているのに、それに気づいてもいない様子で平然としている。
