あなたの奏でる音色
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「ありがとう、土浦。邪魔してごめんね!じゃあ、俺もう少し探してみるから」
俺は土浦に手を振ってその場を離れようとした。
あまり煩いのを好まない茉麻ちゃんがグラウンドにいるとは考えられなかったからだ。
だけど、俺はすぐに土浦に呼び止められた。
「火原先輩!あそこは探してみましたか?」
土浦がそう言って指を差したのは、窓がグラウンドに面した離れの小さな練習室だった。
確かあそこは今使用禁止になっていたはずだ。
「探してないけど……あんなところに?」
「まだ俺がコンクールに参加することになる前に、偶然あそこで見かけたことがあったんですよ」
「……よし、行ってみるよ。サンキュ、土浦」
俺が手を振ると、土浦はそれに応じてくれた後で、またサッカーの輪の中に戻って行った。
俺はそれを見送ってから、土浦が指差した練習室に目を向けた。
そもそも俺はあんなところに練習室がある、なんてことすら知らなかった。
あちらの棟は授業で使うことも滅多にないし、その他でも利用する機会がなかったからだ。
「よし、とにかく行ってみるか」
俺は土浦から得た情報を頼りにその練習室へと向かった。
「誰かいますかー?」
ノックをしてみたが返事はなかったために、俺はとりあえず声をかけてみた。
だが相変わらず返事はない。
「使用中」の札がかかっていたから、この部屋を誰かが使っていることは分かっているのだが、肝心のこの部屋を使っている主が分からない。
「勝手に入っちゃうよー」
俺は一応そう告げてから、ドアを引いた。