蒼穹への祈り
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誰かからの好意は嬉しい
自分は一人ではないと
実感することが出来るから
だけど無条件の優しさが
誰かを途方に暮れさせるということを
私はこの時初めて知ったんだ──
《歌姫からの贈り物》
ピンポーン──
普段は滅多に鳴らないチャイムの音が部屋の中に鳴り響いた。
ああ、うちのチャイムの音ってあんな音だったんだ。
そんな風に感心していれば、ソファーに腰掛けていたアルトが立ち上がって玄関に向かうのが見えた。
私はいつもこんな感じだ。
戦う以外でアルトの役に立つことが出来ない。
変わりたい、そう思うのにアルトは私は私のままで良いと言うから、どうしたらいいものか正直悩む。
チャイムを鳴らしたのは宅急便やさんだったようで、アルトは小包を持って戻ってきた。
一体誰からだろうか。
私とアルトが、この場所に住んでいることを知っている人なんてほんの一握りのはずだ。
「誰から?」
問いかければ、アルトは首を傾げながら答えた。
「シェリルからだ」
そういえば少し前にシェリルから住所を聞かれて教えた気がする。
どうやらこの小包を送る為に必要だったらしい。
それならそうと教えてくれても良かったのに。
今日は偶然家に戻っていたからよかったものの、もしSMSの宿舎にいて受け取ることが出来なかったらどうするつもりだったんだろう。
「ユニ、お前宛だ」
「何で?」
「何で、ってそんなの俺が知るかよ。お前宛なんだから、開けてみたらいいだろ」
「そう、だね」
アルトの言うことが尤もだ。
私に送られてきたものを、私が開けることを躊躇うというのがそもそもおかしな話なのだ。
だけど私の第六感が告げているのだ。
アルトが持つ小包は、何か良くない感じがする、と。
だけど開けないわけにもいかない。
シェリルからの小包を開けていないということが彼女に伝われば、何を言われるか分かったものじゃない。
シェリル・ノームとはそういう女の子なのだ。
私は意を決してアルトから小包を受け取る。
「そんなにビビる必要ないだろ?シェリルはお前のこと気に入ってるんだし」
アルトは何も分かっていない。
確かにシェリルは私のことを気に入ってくれている。
だからと言って、この小包の中身が安全なものだ、という保証はどこにもない。
シェリルのことを疑うわけではないけれど、彼女は時々目を疑いたくなるような破天荒な行動をするものだから少し不安なだけだ。
私は一度深く深呼吸をしてから、小包の蓋を開けた。