蒼穹への祈り
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「…とにかく本当に怪我はしてないんだな?」
「してない。でもどうしてすぐに分かったの?私が怪我をしてないって」
「結構力を入れてお前の手を握ってしまったのに、お前、少しも痛そうな顔しなかっただろ」
「……」
「とにかく、さっさとそれ取れよ」
「せっかく巻いたのに。結構巻くの大変だっ──」
「いいから」
せっかく時間をかけて丁寧に巻いたというのに、アルトはいとも簡単にそれを外せという。
怒られなかっただけマシなのかも知れないけれど、どうにも釈然としない。
「余計な心配かけさせるなよ」
「ひどい」
「お前はそんなことしなくても十分──」
「十分?」
「なんでもねぇよ!ほら、さっさとしろ」
アルトは私が差し出した弁当を小脇に抱え、私の指の絆創膏をはがすのを手伝ってくれる。
まるで壊れ物を扱うような優しい手つきに、それだけでアルトが私のことを大切に思ってくれていることが伝わってくる。
いつものぶっきらぼうな言葉は、きっとただの照れ隠し。
心無しか頬が赤く染まっていることも、気づかないふりをする。
だってそれを口にしたら、もしかしたらアルトは今度こそ怒りだすかも知れないから。
「また、お弁当作ってきていい?」
「まだ食ってもないのにそれかよ」
「いい?」
「こんなに手を絆創膏だらけにしなけりゃな」
「わかった」
その言葉の続きを
早く知りたいと願うけど
どうやらその望みが叶うのは
もう少し先のことみたいだ
《終》