選ばれし子供達
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「僕は…ミチを守りたい。今はそう思って戦ってる」
「私を?」
シンジが紡いだ予想外の言葉に、私の心の水面に小さな波紋が描かれる。
私の胸にある気持ちを、もしかしたらシンジも持ってくれているのかもしれない。
そんな小さな希望が、見え隠れする。
望んではいけない希望に、胸が締めつけられる。
「僕に戦う理由が出来たのなら、それしか思いつかないから」
シンジはそう言った後に、私の髪に触れて、ゆっくりと口づけを落とす。
シンジは、こんなにも気障な男だっただろうか。
少し、どこかの誰かさんに似てきたような気がしないでもない。
まだまだ彼に比べれば序の口だけど。
「だから、お願い、ミチ。そんな昏い瞳をしないで。笑っていてよ」
懇願したいのは私なのに、シンジはいともあっさりと願いの言葉を口にする。
私が何度も何度も躊躇って口に出来なかったことなのに。
シンジに笑っていて欲しかったのは、私の方だ。
エヴァに乗る理由が少しずつ変化したのは、シンジがいるからだ。
キミの笑顔のために、私は戦いを望むんだ。
戦いの終結のために。
私は羞恥心から俯いたままで小さく告げる。
シンジにだけ届く、今にも消えてしまいそうなほどに小さな声で。
「シンジがそれを望むなら──」
私の心を覆う憂鬱は
キミが取り払ってくれた
私の心に巣食う闇を払うのも
キミであればいいと願う
だから、それまでは
生きているのも悪くはない──
《終》