選ばれし子供達
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私が無言でカヲルを見ていると、突然彼の瞳から一筋の涙が零れ落ちた。
透明で。
汚れのない、涙。
私は慌てた。
だって、いきなり彼が涙を零したから。
今この場に於いて、彼が悲しみ涙を流す理由があっただろうか。
私にはどうしても思いつかなかった。
だけど、彼が涙を拭う事もせず、ただ真っ直ぐに夕焼けに染まる廃墟を見つめる姿を、綺麗だと思わずにはいられなかった。
彼の流す涙を儚い、と思わずにはいられなかった。
「なに…泣いてるの?」
失礼極まりない、不躾な言葉だったと、自分でも思う。
でもそれ以外の言葉が見当たらなかった。
そんな私に対してカヲルは嫌な顔一つしなかった。
そして、私の方を見る事もしなかった。
ややあってから、彼はぽつりと呟いた。
「これは、ミチ、キミの涙さ」
「私の涙?」