選ばれし子供達
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本当に神出鬼没な奴だとつくづく思う。
何を考えて私につきまとっているのかは知らないけれど。
赤い瞳はいつも楽しげに弧を描くだけで、その真意は全く掴めない。
彼の企みの中で踊らされているのではないか、と不安にならずにはいられない。
彼の考えが分からない。
彼の素性も分からない。
それでも、何故か彼に惹き付けられる自分を感じていた。
「どうしてキミが私の疑問に答えるの?私が私自身の事は一番分かっている筈なのに」
「それは違うよ。リリンというのは、自分のことほど、一番分からないものさ。知ろうとするには、あまりにその距離が近すぎるからね」
「………」
淡々とした口調で諭される。
私と歳は変わらない筈なのに、時折この少年は大人びた表情と言動をする。
そしていつも的を射た答えを並べるものだから、つい納得してしまうのだ。
そして今回も、そう──
確かに、自分の事程、考えれば考える程深みに嵌って分からなくなる。
まるで霧がかかったような。
近すぎると、見失う。
もしかしたら、本当にそんなものなのかも知れない。
私が心の内で納得していると、カヲルは満足そうに微笑む。