あなたの奏でる音色
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私を練習室の椅子に座らせると、蓮くんは屈んだ状態で私を見上げた。
青い瞳に、私の姿が映り込む。
もう涙は止まっていて。
かわりにひどく疲れた顔をしていた。
「大丈夫か?」
蓮くんは気を遣って短い言葉で話す。
理解出来た私は小さく頷く。
ああ、まだコンクール、終わってなかったのにな。
神様は、意地悪だ。
もう少し、もう少しだけで良かったのに。
「保険医を、呼んでくる。君は、此処にいるんだ」
そう言って立ち上がろうとした蓮くんの腕を、私は咄嗟に掴んでいた。
意外にしっかりとした腕。
私は何度この腕に支えられてきたんだろう。
私の突然の行動に驚いた蓮くんは目を丸くする。
まさか私がこんな事をするなんて、思いもしなかったんだろう。
私だって、自分でも驚いているくらいなんだから。
「茉麻天…?」
「や、だ。行かないで」
いつも通りの感覚で話すけれど、とにかくもどかしい。
そして同時に怖い。
ねぇ、私、ちゃんと話せてる?