あなたの奏でる音色
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こんな事になるなら
知らなければ良かった
こんな事になるなら
好きになんてならなければ良かった
そう思えないのは、きっと
どうしようもないくらいに
私が其れを求めて止まないから──
《見たくもない現実を》
ヴァイオリンを持つ手が、震える。
哀れな程、小刻みに。
意識しなくたって、其れは勝手に私の瞳から零れ落ちる。
透明な、涙。
止め処なく、次から次へと。
「茉麻……?」
側で私のヴァイオリンの音に耳を傾けていた蓮くんは、私の様子に慌てて駆け寄ってくる。
その取り乱しようは私以上で。
当事者は私なのに、何故か至極冷静に彼の行動を見つめていた。
その間も涙は止まる事なく、私の頬を伝い続けていた。
蓮くんは私の手を傷付けないようにヴァイオリンを取り上げると、ケースの中にそっと収める。
私は近付いてきた蓮くんの耳にそっと触れる。
「音、聞こえなくなったの──」