右手に太刀を左手に君の手を
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話したことで心の重荷が下りたのか、千里様の笑みはいつもよりも幾分幼く、何よりも無防備なように見えた。
その表情を愛おしく思いながら、一つの決意を固める。
「千里様、この幸村、必ずや千里様が元の世界へお戻りになれる方法を探してみせます!」
「幸村……」
「私では力になれぬやも知れませぬが、精一杯力を尽くす所存でございます!」
「……」
私ははっきりと決意を口にした。
伝えておきたかったのだ、自分の胸の内を千里様に。
しかし、私の言葉に千里様は口を噤んで、一瞬表情を曇らせた。
私はほんの刹那の千里様の感情の揺らぎを見逃したりはしなかった。
しかし私に気付かれていないと判断したのか、千里様はまた笑顔を作られた。
ほんの少し作り損ねた、切なさを含んだ笑みだった。
「ありがとう、よろしくね、幸村」
「承知いたしました」
千里様が一瞬見せたあの表情の意味。
それを私は未だに理解出来ないままで。
気丈に振る舞う姿も
今にも泣き出してしまいそうな
あまりに儚い横顔も
知っているようで
実のところは
何も知らなかった
貴女が打ち明けた秘密は
私の心の中だけに留めて
いつだって私だけが
貴女の心の支えになれますように──
《終》