右手に太刀を左手に君の手を
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泣かないで
泣かないで
ただ笑っていて
貴女の悲しみは全部
私が消し去ってあげるから──
《秘密のあとには》
お館様がとても大切にしている姫君。
美しい、というよりは可愛らしいといった印象を受ける、私よりもいくつか年下の方。
普段は決して人前に姿を見せない方であったけれど、お館様の命で話し相手をさせていただいたことがあった。
女性であるのに聡明で、しっかりとした揺るがぬ芯をお持ちのお方。
素姓は定かではない。
もちろんお館様の血族、というわけでもない。
それでもお館様はまるで実子のように、彼女──千里様を可愛がっていらっしゃった。
そして私はまた千里様のお話相手になるようにと、お館様から仰せつかったのだった。
一頻りの鍛錬を終えた後、私は離れにある千里様の部屋へ向かった。
しん、と静まり返った部屋。
一瞬いらっしゃらないのかとも思ったが、微かに人の気配がする。
よく見れば灯りも点いているようだった。