右手に太刀を左手に君の手を
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千里が女だてらに刀を取ったのは、病に伏せってしまった父に代わり、家族を守る為。
何も好き好んで戦場に立つ事を望んだ訳ではないのだ。
そうであるのに、千里は嫌な顔一つせず、男衆に混ざって毎日鍛錬を行っていた。
その力を御館様の為に振るい、皆を勝利に導いていた。
女だからと決して妥協せず、常に未来を見つめ続けていた少女。
だからこそ、幸村は少女に惹かれずにはいられなかった。
外見が美しかったからでなく。
その武に惚れ込んだ訳でもなく。
ただ千里の心に。
魂に心を奪われたのだ──
幸村は上体を折り曲げ、そっと千里の唇に自分のものを重ねた。
あたたかい。
それはまだ、千里が生きている証拠。
彼女自身が生きるという事を諦めていない、何よりの証。
幸村はもう一度千里を見つめ、そっと立ち上がる。
いつまでも此処に居てはいけないのだ。
千里が何故あのような行動を取ったのか、その真意を考えるべきであったのだ。
「どんな手段を取ろうとも、私は必ずそなたを助ける。だからそれまで、少しの間一人で辛抱してくれ」