右手に太刀を左手に君の手を
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震える声は格好悪いし、今の私はとっても情けない顔をしているんだろう。
それでも構わない。
そう思えるのは、私がきっと政宗を信じているから。
政宗は私を絶対に笑ったりしない。
どんな私であったとしても、正面からちゃんと受け止めてくれる、って。
「分かっておるわ!それまでに、ちゃんと迎えに行く」
「……うん、待ってる。だから、絶対に迎えに来て」
「それまで泣きべそを掻くんじゃないぞ」
笑顔のままで頭を撫でられて。
何だかいつもと立場が逆だなぁ、なんて思ったり。
でも、今はいいの。
この掌の温かさに、私は身を委ねる。
私はぐいっと涙を拭い去り、破顔する。
勿論、いつもどおりの笑顔、という訳にはいかないけれど。
今の私に出来る精一杯。
「幸村殿の所へ嫁ぐまで、色んなこと、しよう?会えない時間に、楽しかったこと、幸せだったこと、思い出して悲しくならないように」
「そうじゃな。そうと決まったら早速行くぞ、千里!」
政宗は言うなり、私の手を引いて立ち上がった。
どれだけ唐突で、どれだけ無計画なのだろう、私の想い人は。
でも、それも悪くない。
「うん、行こう!」
走り出す私達
誰にも止められる訳ない
時の許す限り
気の済む迄
二人で駆けていくの
乱世の、向こう側まで──
《終》