右手に太刀を左手に君の手を
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その言葉を聞いた途端、堰止めていた筈の涙が、滝のように溢れ出した。
堪えすぎていた分、制御が出来そうになかった。
止まれ、止まれ、と思うのに、私の意志に反して涙は溢れ続ける。
「千里、今のわしには力がない。お前を連れ去ってやるだけの力が」
何を思ったのか、ぽつぽつと政宗は話し始めた。
普段はふざけあってばかりの私達。
真剣な話なんて、殆どした事が無かった。
私と政宗の二人きりの時ならば尚更。
私はゆっくりと握り締めていた手を開く。
そして、そっと政宗の手を握り締めた。
今だけは、触れることを許して。
私達に残された時間は、あまりにも短い。
「だが、わしには千里が必要じゃ。それだけは分かる」
「……うん」
「必ずお前を奪い返しに行く。それまで真田の元で、大人しく待っておれ!」
あまりに力強い言葉。
そしてその眼差し。
そんな姿を見せられてしまったら。
私は頷くしか出来ないじゃないか。
その他に選択肢なんて、残されていないじゃないか。
「ありが、とう……でも、私、そんなに気が長い方じゃないよ?」
涙は相変わらず止まらない。
それでも私は無理やりに笑顔を作り出す。
私に泣き顔は似合わない。
自分でちゃんと分かっているから。