神と人の綾なす物語
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「…私だって、会いたかったよ。戦続きで、すれ違ってばっかりだったからね」
「そうだな。だが、それだけ俺も君も二ノ姫に重用されているという事だろう」
「…喜ばしい事、だよ」
言葉とは裏腹な表情を浮かべる私に、忍人は怪訝な眼差しを向ける。
疑いに満ちた視線を受けて、私は星空に目線を移す。
逃げた、という表現が正しいか。
「言葉と表情が一致していないが?全く…君らしくもない」
半分冗談めいたかのような口調。
でも、彼は本気だ。
力強い瞳が、明らかにそれを物語っている。
「…このままで、いいのかと思って、さ」
「……?」
忍人の視線に観念して、私は唇を動かす。
しかし、私が紡ぎ出した言葉は、彼の理解の範疇を越えていたらしい。
私は頭の中で必死に言葉を選び取る。
下手なことは、この聡い彼の前では口にしたくないから。
「今のまま戦って、橿原宮を取り戻して、千尋を中つ国の王として…それで、お終い?」
皇は?
禍日神は?
黒龍は?
根本的な事、何一つとして解決出来ていないのではないか。
少なくとも、私はそう思う。
救われるのは、豊葦原だけだ。
常世の国は、救われてない。
自分達だけが助かればそれでいい。
私はそんな風には思えない。