神と人の綾なす物語
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私は掲げていた刀を鞘に収め、忍人に向き直った。
深い濃紺の瞳を真っ直ぐに見つめる。
「珍しいね。忍人がこんな時間に此処にくるなんて」
天鳥船の堅庭。
人々が寝静まった今は、恐怖さえ覚える程に静かだ。
「……そうだな。二ノ姫に、紗綾がよく此処で鍛錬を行っていると聞いてな」
二ノ姫、というのは私と忍人が仕える王だ。
齢十七にして、国を守ることを余儀なくされた娘。
そして、私の大切な友達。
「それでわざわざ?葛城将軍も、随分とお暇なようで…」
皮肉を込めて言うと、忍人は苦笑いを浮かべる。
普段のきつい目元が緩んで、年相応の顔つきになる。
まぁ、だから私もわざとそんな事を言うんだけど。
「君と、暫く会えていなかったと思ってな」
いつもは厳しい口調で。
優しい慰めの言葉一つかけてくれないのに。
どうしてこんな時に。
欲しいと思った時に。
どうしようもなく、嬉しい言葉をくれるんだろう。