神と人の綾なす物語
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風早達のような特別な力は、私には生憎備わっていない。
かと言って、羽張彦達のように勇猛な訳でもない。
平凡で、弱くて。
泣いて叫んで、求めてばかりで。
そんな自分が、私は大嫌いだ。
私は刀を月の光に翳した。
幾人もの生き血を啜りながらも、全く輝きを失わぬ妖刀。
私の命を繋ぎ止めるもの。
「橿原の地を取り戻すのも、時間の問題……」
それまでに、私は一体何人の命の灯火を掻き消せばいいのだろう。
血に濡れた両手で、私は未来を抱き締める資格はある?
答えの無い自問自答を繰り返す度に苦しくなる。
この輪廻を続ける世界で、自分の存在意義が分からなくなる。
龍を産み落とした過去があっても。
所詮今の私は只の人間だ。
大切なあの人すら、護りきれやしない──
「こんな遅くまで一人で鍛錬しているとは、関心だな。俺の隊の者にも見せてやりたいくらいだ」
声が聞こえて、私は勢い良く振り返る。
まさか、来るなんて思ってもみなかったから。
「忍人……」