神と人の綾なす物語
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「せっかく千尋から写真立てを貰ったんです。飾る為の写真を撮らないと。紗綾、那岐が逃げないように見張っていて下さい」
「…逃げないよ。今日だけ、だけどね」
那岐は盛大に溜め息を漏らしながらも、どうやら本当に何処かへ行くつもりはないようだった。
足を崩して、私の部屋で寛いでいる。
そう言えば、那岐は前に私の部屋は楽だから良い、とか何とか訳の分からない事を言っていたような気がする。
「誕生日を迎える人間の特権、だね。それじゃあカメラを取ってくるから、ちょっと待ってて」
風早は少し足早に自室に引き返して行った。
また三人に戻った私達は、ハイタッチをする。
当たり前だけど、那岐は巻き添え。
満更じゃないような気もしたけれど。
「紗綾、大成功だよね。風早、喜んでくれてたよね?」
「うん。だって千尋も見たでしょ?風早の嬉しそうな顔」
「うん!!本当に良かった。那岐も協力してくれてありがとう」
「もうこれっきりにしてもらえると助かるんだけどね。ゆっくり昼寝をする時間すら、取れなくなるのは嫌だから」
那岐の言葉に笑っている内に、すぐに風早は戻ってきた。
いつの間にデジタルカメラから一眼レフのカメラに買い換えたのか。
つくづく風早は千尋馬鹿だと思う。
気がつけばまた、ハンディーカムとか増えてるんだろうな。
「ほら、みんな並んで」
三脚をセッティングしながら、風早は促した。
その言葉に従って、私達は大人しく並んだ。
勿論、本日の主役、風早が真ん中に来るように。
セルフタイマーにセットして、風早は此方に駆け寄ってくる。
そんな風早に、私と千尋はぎゅっと抱き付いた。
那岐は呆れたように見下ろしていたけれど。
風早、本当にお誕生日おめでとう──
あなたとこうして此処に居られる事が幸せ。
あなたと巡り会えたことが幸せ。
あなたが生まれてきてくれた事が幸せ。
これから先、今がずっと続くとは到底思えない。
そう遠くない未来にきっと終焉は来る。
だから風早は、今この時を大切にしているんだろう。
何もかも知っているような表情を、時折見せながら。
でも、今は。
今だけは。
あなたにとって特別な日を、祝福させて欲しいんだ──
《終》