幼馴染みと恋人の境界線
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「あら?奏多、将臣殿、まだこんな所にいたの?もうとっくに市に行ってしまったと思っていたのに」
俺たちがまだ門を出てすぐの所にいると、門から朔がひょっこりと顔を覗かせた。
その手には何か小さな紙切れが握られている。
あらかた何かまだ買わなければいけないものがあった、というところだろう。
「うん、ちょっと話し込んじゃってたんだ。それで、朔はどうしたの?」
「そうなの?あ、実は兄上から頼まれていた物もあったのをすっかり忘れていたのよ。奏多、この紙に書いてあるものも買ってきてもらえるかしら」
「分かった、まかせて」
奏多は朔から小さな紙切れを受け取ると、腰に付けていた巾着袋にその紙を押し込んだ。
「じゃあ、今度こそ行ってくるよ」
「ええ、お願いね。将臣殿もお願いします」
「ああ」
俺が言うなり、奏多は俺の手を引く。
小さな手が触れてくる。
「ほら、行くよ」
幼い頃と少し逆になった立場に俺は苦笑いしてから歩き出した。
大切に守っていこうと思った。
俺の最後の居場所を。
愛しい人を。
たとえそれが誰かを苦しめることになったとしても、それが俺の選んだ道だから。
お前だって味方してくれるんだろ、奏多?
《終》