神と人の綾なす物語
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私も、何か風早の力になれればいいのに。
いつも強くそう思う。
この世界は本当に不便な場所だ。
子供だと禁じられる事ばかりだ。
まぁ直接的に私達が争いに巻き込まれる事はないみたいだから、その点では感謝しないといけないのかも知れないけれど。
あの豊葦原での日々がまるで幻のようにさえ思えてくる。
あんなにも必死に命を懸けて戦って。
数え切れないほどの死と悲しみに直面して。
いっぱい、いっぱい傷付いたのに。
紛れもない真実なのに。
時折、何もかもを否定してしまいたい自分が確かにいる──
「あのさ、風早に見せたいものがあるんだ。私の部屋に来て?」
暗雲を振り払うように、思考を中断させた私は、そう言ってまだ状況が全く把握出来ずに目を見開いている風早の手を引いた。
私よりも一回り以上も太い手首に、この人が男で、武人であったのだと自覚する。
抵抗するかとも思いきや、風早はすんなりと私についてきた。
穏やかでかて涼しげな瞳が、何だか今日は憎らしい。
何もかも見透かされているような気がして。
「はい、到着。風早、入って」
「…分かりました」
きっと、疑問に思ったんだろうな。
どうして私の部屋なのに、自分が先に入るんだろう、って。