神と人の綾なす物語
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本当は店で買って来ようかと思っていたのだけれど、何分子供の私にとって、ケーキはかなりの高級品だった。
別にお小遣いを貯めていたからケーキの一つや二つ買えないこともなかったが、結局私は買わなかった。
風早にあげるなら、手作りがいいと思った。
その方が、風早はきっと喜んでくれると思ったから。
料理はそれほど得意ではなかったけれど、本を見ながら奮闘した。
出来は…まあまあ、だと思う。
勿論風早にはかなわないけれど。
「私が作ったにしては、うまく出来てると思わない?」
「うん、紗綾上手だよ。とってもおいしそう!!」
「……」
千尋は手放しに褒めてくれる。
やっぱり自分が頑張ったものを褒めてもらえるのは嬉しい。
一方那岐はというと、私が作ったケーキを凝視したかと思うと、ぷいっと視線を逸らしてしまった。
「那岐、何か言いたそうじゃない。どう?私の作ったケーキは?」
那岐はまた一度ケーキに視線を下ろし、ぼそりと呟いた。
那岐の声だけに意識を集中させていないと聞き逃してしまうような、そんな小さな声だった。
「…別に、いいんじゃない」