神と人の綾なす物語
夢小説設定
ご利用の端末、あるいはブラウザ設定では夢小説機能をご利用になることができません。
古いスマートフォン端末や、一部ブラウザのプライベートブラウジング機能をご利用の際は、機能に制限が掛かることがございます。
俺は何も知らぬこの少女に、全てを話してしまいたくなった。
俺の知る全て。
この世界の、秘密。
あまりに悲しくて、残酷な現実を。
それ故に語れない真実を。
「風早が大丈夫、なんて言うから。だから、時々、分からなくなりそうになるじゃない」
泣き笑いのような。
作り損ねた表情で俺を見上げるから。
俺は吐き出してしまいそうになった言葉を飲み込んだ。
きっと、口にしてはいけないのだ。
それは龍神に対する反逆だから。
「…すみません」
それは何に対しての謝罪だったのだろう。
紗綾を惑わす言葉を連ねるから?
紗綾に真実を隠しているから?
それとも──
「何だか風早、謝ってばかりだね」
「それだけ紗綾に悪いことをしているってことだね」
俺と紗綾は顔を見合わせて、同時に噴き出した。
くすくすと笑う紗綾に、俺はどうしようもなく安心する。
君が笑うから、俺は未来を求めてしまう。
君が泣くから、俺は過去を疎んでしまう。