神と人の綾なす物語
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紗綾は蹲ったまま、俺の手を取った。
冷たい感触は、更に俺の胸を締め付ける。
「分かってる、の。私だって、馬鹿じゃない」
紗綾はぽつり、ぽつりと呟いた。
途切れ途切れの言葉から、紗綾が必死に言葉を選び取っているのが伝わってくる。
「風早達が、すぐに部屋に閉じ籠もる私を心配してくれていること。豊葦原を離れたのも、仕方のなかったことだって。どうしようもないんだって」
「……」
「でも、簡単に割り切れないんだよ。まだ皆、あの世界で戦っている。私達だけが、私だけが、此処に居ていいの?安全な場所に居ていいの?それって、許されること?」
溜め続けていた言葉を吐き出すように、紗綾は一息に紡ぎ出した。
嗚呼、何故君はいつもそんなにも多くのものを内側に抱え込もうとするのだろう。
君だけが苦しむ必要なんてないのに。
その痛みを、悲しみを、少しでも分けてくれたらいいのに。
握り締められた手に力が込められる。
それはまるで紗綾が“助けて”と、声にならない声を発しているような気がした。