神と人の綾なす物語
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「…嘘、です」
俺はすぐに嘘であることを白状した。
紗綾に対して、隠し事をし続けられる訳がないのだ。
それなら、早めに打ち明けた方がよい。
彼女が機嫌を損ねてしまわない内に。
紗綾は俺の言葉をうまく飲み込めないようで、大きな目を見開いたまま、固まってしまっていた。
しかし流石は紗綾。
すぐに頭を切り替える。
「…どういうこと?」
「だから嘘、です」
「だから──」
若干紗綾は苛立ちを隠しきれないようだった。
彼女がこれほどまでに、不機嫌なのも珍しい。
那岐は常に不機嫌だし、千尋は千尋で普段は穏やかなものだが、時折導火線が短いところがある。
「荒魂は確かに現れた。でも今日の当番は那岐で、俺は怪我なんてしていないんだよ」
真っ直ぐに逸らす事なく、紗綾の瞳を見つめながら言う。
紗綾は俺の言葉を聞き終えると、呆れたように溜め息を零す。
どうやら説明するまでもなく、俺の真意は伝わったらしい。
紗綾は肩を撫で下ろし、床に屈み込んだ。
「もう…お願いだから心配させないで。私、そんな嘘は嫌いよ」
「…すみません」
震えた声に、罪悪感が生まれた。
何故、こんな嘘をついてしまったのだろう。
優しい彼女が傷付いてしまうかも知れないと、何となく分かっていたくせに。