神と人の綾なす物語
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ややあってから、音もなく、扉が開かれた。
ほんの少しの隙間から、ひょっこりと紗綾が顔を出す。
ちらっと俺の回りに視線をやってから、紗綾は俺の手を引き、部屋の中へと招き入れてくれた。
後ろ手でそっとドアを閉めると、かちゃり、と鍵をかけた。
俺は無意識の内に、紗綾が掴んだ自分の右手に視線をやる。
細く、折れそうな手首。
すらりとした指。
そしてひんやりとした掌。
何だか無性に泣きたくなった。
紗綾はぱっと手を離すと、俺の体をベッドに押し付けた。
座らされると、ふとベッドに暖かさを感じた。
どうやら紗綾は此処に腰を下ろしていたらしい。
部屋の電気は相変わらず点けないままで、紗綾は俺の前に屈み込んだ。
闇の中でも、俺を見上げる彼女の瞳だけが柔らかく輝いて見える。
「どこ、怪我したの?」
抑揚のない声。
でも水のように澄んだ声で、紗綾は俺に問い掛けた。
でも、俺は答えられない。
だって怪我なんて本当はしていないんだから。
荒魂が現れたのは本当だ。
でも、今日荒魂と戦ったのは、俺ではなく、那岐だから。