神と人の綾なす物語
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今日もまた、荒魂が現れた。
力の弱い荒魂だったようで、那岐も怪我一つなかったようだった。
でも、もしかしたら紗綾はそれを気にしているのかも知れない。
「紗綾、いるんでしょう?」
俺はそっと呼び掛けてみる。
勿論返事がないであろうことは、百も承知だ。
「……」
そして予想通り、返事はない。
でも、彼女が部屋の中にいることは分かっているのだ。
玄関には丁寧に揃えられた靴があったし、何よりも、彼女の強すぎる“神氣”は隠しようもない。
紗綾の力は謂わば垂れ流し、状態なのである。
普段は大人しい紗綾ではあるが、殊の外頑固な一面も持ち合わせていた。
彼女を部屋から出すのはいつも至難の業だった。
「紗綾、聞こえているかい?」
俺は出来るだけ冷静を装って、落ち着いた声を出す。
今から仕掛ける策が、彼女に見破られてしまわないように。
「今日、荒魂が出たのは知ってるよね?実はちょっと油断して怪我をしてしまったんだ。情けなくて那岐には頼めないし、千尋に心配はかけられない。紗綾、君が看てもらえないかな?」