神と人の綾なす物語
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「私は、嫌、だな。ほんの少しの時間でも柊の中から私が居なくなっちゃうの」
私の胸に顔を埋めながら、ぽつりと呟いた貴女の言葉。
それほどまでに、紗綾の心の中で私の存在が大きいことに、幸せを感じずにはいられなかった。
長く伸ばされた髪を、そっと撫でてやる。
その感触に、紗綾は私を見上げてくる。
擽ったそうに目を細めるその仕草は、あどけなく。
彼女の本来の年齢よりも、幾分か幼く感じさせた。
「心配する必要はありませんよ?私が紗綾を忘れることなどないと誓いましょう。私のこの、命に懸けて」
「…ありがとう」
紗綾は頬を桃色に染めたかと思うと、小さく笑った。
この中つ国を治めるニノ姫とも、かつての友人である一ノ姫とも違う。
例えるならば、霞草のように、素朴で、それでも可憐な。
そんな微笑みだった。
この笑顔の為に、自分はきっと戦い続けたのだろう。
正直な所、中つ国も豊葦原の未来にも興味はなかった。
世界は繰り返すだけだから。
それでも其処に貴女が居ないから。
紗綾の笑顔が存在しないから。
だから、この体に流れる血も。
敵でさえも。
利用出来るものは利用したのだ。