幼馴染みと恋人の境界線
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ずっと変わらないものなどない。
変わりたくないと願っても、時は全てを押し流していく。
ただ変わる事しか出来ないのなら。
変わりゆく事しか赦されないのなら。
自分で選んで、望んだままに変わりたい。
ただ曖昧に流されていくことだけはごめんだった。
お前ならわかってくれるよな?
今此処にいるのは偶然なんかじゃない。
今側にいるのは運命なんかじゃない。
俺がお前が。
戦い続けて、願い続けたから、なんだぜ。
《変わること、変わらぬこと》
カーテンの隙間から差し込む朝日に俺はうっすらと目を開けた。
もう、朝、か。
最近とみに時間が流れていくのが早くなったような気がする。
一週間なんてあっという間だった。
あの遠い異世界にいた頃は一日がひどく長かった。
いかにして平家一門を守り抜くか。
堂々巡りの考えに苛立ちを隠せないからこそ、時は遅々として進まなかった。
深みにはまったように、身動きが出来なかった。
いや、それ以前に時間が過ぎる事を望まない気持ちの大きさが錯覚を生じさせていたのかも知れない。
「…んん……」
小さな声が聞こえて、俺は腕の中の存在に目を落とす。
思わず頬を緩めずにはいられなかった。
当たり前のように腕の中で無防備に眠る少女。
いなくなってしまう事に怯える必要もない。
そんな日常が愛しくて仕方がなかった。
「…奏多」
小さくその名を呼んでみる。
幼い時から何度も何度も呼び続けた名前。
どれ程呼んでも呼び足りない。
こんなに近くにいても。
奏多に俺の声の声は届いていないようで全く反応を示さなかった。
ただそれでも俺の服をぎゅっと握り締めながら眠る奏多に愛しさを感じずにはいられなかった。