キミと私とあなたがいれば
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まさか知盛からそんな言葉を聞くことになるとは予想もしていなかったから。
確かめるように私は尋ねた。
「私たちが帰らなくちゃならなくなった時、一緒に来てくれるってこと?」
「……何か不都合なことでもあるのか神子殿は」
「なっ、そ、そんなことはないけど」
「けど?」
「一緒に来てくれるなんて、考え付きもしなかったから」
「どうだかな」
「……どういう意味、それ?」
「俺はてっきり神子殿に拉致されるのかと思ってたぜ?」
私は知盛の言葉を聞いて、開いた口が塞がらなかった。
知盛は私を一体なんだと思っているんだろう。
確かに無茶なことは沢山してきた。
だけど、そこまで言うことないと思うのに。
「嘘じゃない……よね?」
「俺がお前に嘘を言ったことなどあるか?」
あるよ──
あなたじゃない、幾千のあなたの中のあなたが。
私に、嘘をついてきたよ。
だけど私は首を横に振った。
だって知盛は今目の前に居るあなただけなんだから。
「冗談に聞こえない冗談ならしょっちゅう言ってるけどな」
将臣が呆れたように声をあげる。
私は嬉しくて将臣と知盛の手を握った。
私たち、もう離れ離れにならなくていいんだ。
私たちが望むなら、私達の絆がずっと続くなら、私たちはずっとずっと一緒に居られるんだよね。
どれだけこの日が来る事を待ち望んでいたことだろう。
そんなことさえ、もう振り返る必要もない。
ただ望む幸せな未来のために、私たちは前だけを見ていればいいんだ。
「やっと、笑ったな」
知盛の声に、私はめいっぱいの笑顔を向けた。
私が笑っていられるのは将臣と知盛のおかげ。
だから私はあなたたちを守りたい。
「俺たちずっと心配してたんだぜ。お前がずっと元気なかったから」
「お前の事だ、どうせ悩んでいるのは俺たちの事なのだろうとは思っていたが……案の定とはな」
「俺たちの事でお前には辛い顔してほしくねぇんだよ。奏多には笑っててほしい」
私はいつだって心配掛けてばかりなんだ。
でも、私なりに一生懸命二人のために頑張ってるんだよ?
「努力する。ありがとう二人とも。大好き、だよ」
「「二人とも、ね」」
二人は同時に呟いて苦笑いを浮かべあっていた。
私はそんな二人の手を引いた。
すっかり冷たくなった私の手を包み込んでくれる大きな手を。
離したくない。
これから、ずっと。
「ほら、帰ろ?」
永遠に終わらないこの道を。
私たちはずっと一緒に歩いていく──
《終》