目に見えぬ絆を胸に
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「先ほどの歌は何の歌でございますか?」
銀は私の歌った歌に興味を持ったらしい。
いや、銀の場合は歌に限ったことではない。
私の世界の全てのことに興味があるらしい。
私がどんな世界に生きていたのか、何を思って生きてきたのか。
銀は出会う前の私の全てを知りたいのだと言った。
それはもう歯の浮くような恥ずかしい言葉でもって。
私のことを知りたいと思ってくれるのは嬉しい。
それだけ私のことを想ってくれている、ということだから。
「私の世界の七夕の歌だよ」
「七夕…あぁ、そういえば今日は七夕でしたね」
「うん。色々ばたばたして忘れてしまっていたんだけど、空を見てたら急に思い出して」
「さようでございましたか」
銀はそう言って、私の瞳を覗き込む。
彼はいつもそうだ。
私世界の話を聞いたあと、いつも私の顔色を窺う。
それなら聞かなければいいのに。
そんな風に思っていた時期もあったけれど、今はもう違う。
「もう、元の世界を思い出して悲しくなったりしないよ?」
「奏多様…」
「同じくらいに大切なものが、この世界にもできたから」
そう言葉を返せば、銀は安堵の表情を浮かべる。
そして柔らかい笑顔で言った。
「先程の歌、私に教えてくださいますか?」
「うん、もちろん」
これからの未来
この歌を歌うたびに
私はきっと思い出す
大切な二つの世界のことを
《終》