目に見えぬ絆を胸に
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張り詰めてばかりの心は
いつからか休むことを忘れて
そうあることが
「普通」になってしまった
あなたが誰かを想うように
誰かがあなたを想っていることを
どうか忘れないでください──
《心休まるひとときを》
昨日は知盛の誕生日祝いという名目で宴を開いたばかりだというのに、今日は今日で重衡さんの誕生日祝いということで、それはまた盛大な宴会が催されていた。
本当にここの人達は宴が好きだな。
何かと理由を付けてはいつも宴を開催しているような気がしてくる。
誰が筆頭になっているのは知らないけれど、それを許しているあたり、清盛さんも相当な宴好きだと思う。
現に今もお酒を幸せそうに飲んでいるし。
私はといえば、昨日は将臣の謀略によって知盛に無人島まで拉致され、一日中惰眠を貪るのに付き合わされた疲れもあって、今日も大人しく宴会の隅の席で食事をいただいていた。
あっさりした酢の物などを食べながら、溜息を零す。
重衡さんには悪いけど今日はもう早めにこの宴の席から逃げてしまおう。
またこの場に居続ければ、ろくな目に遭わないような気がして仕方がない。
私の第六感がそう告げるのだ。
運ばれてきた甘味を口に運べば、また影が落ちた。
ああ、既視感。
どうして。
デザートくらいゆっくり食べさせてくれてもいいじゃないか。
おそるおそる顔を上げれば、眩しいくらいに輝く笑みを浮かべた重衡さんがいた。
昨日と同じ展開。
昨日と同じように静まり返る室内。
集まる視線。
口の中にあった甘味を飲み込んで、私は苦笑いを浮かべた。
「お。お誕生日おめでとう、重衡さん」
「ありがとうございます、奏多さん」
「いいの?主役がこんなところにいて」
「ええ、構いません。貴女にお願いがあって来ましたから」
私の苦笑いなどまるでお構いなしで、重衡さんはにこにこしている。
その表情にまるで悪意なんてものは感じなくて、重衡さんはただ純粋に嬉しくて笑っているようだから余計にたちが悪い。