目に見えぬ絆を胸に
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奏多様の提案に、私は迷う事なく頷いた。
彼女からの折角の誘いを断る必要がどこにあるだろう。
本当はまだ事務仕事が残っていたけれど、そんなものは後回しで十分だった。
彼女と共にある時間こそが何よりも大切なのだ。
奏多様は私の願いを聞き届けて下さり、この世界に残る事を選んだ。
それでもいつ、龍神によって元の世界へ戻されてしまうか定かではない。
私達はまだ永遠とは程遠い場所にいるのだ。
「はい。私などで宜しければ」
「銀がいいの。銀とじゃなきゃ嫌なの」
本当にお可愛らしい事を言って下さる。
貴女は常に私を縛り付けて離さない。
そんな事をせずとも、私は逃げたりしないのに──
貴女の存在そのものが、私の生きる理由。
貴女がいるから、私は平家との縁など無くなってもよいと思えた。
「でも、ありがと。ね、銀、腕、組んでもいい?」
「ええ、どうぞ」
いつかもう一人の神子様が言っていた。
腕を組む、という行為は、奏多様達の世界では恋人同士がするのだと。
いつだって控えめな願いしか口にしない貴女に、私は思わず頬を緩めてしまう。
貴女の願いなら、どんな願いでも叶えてみせますよ。
焦る必要なんて何処にもない
貴女は私の側にいるのだから
少しずつ
少しずつ
私達の歩幅で前へ進めばいいから──
《終》