目に見えぬ絆を胸に
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笑って
私の名前を呼んで
ただそれだけの事で
私の心は満たされる
幸せな気持ちになれる
貴方に巡り逢えて
本当に良かった──
《きっともう離せないから》
木漏れ日が揺れる、春の平泉。
厳しい冬を乗り越え、此処にも漸く温かな春がやってきた。
鎌倉との戦を終結に導いた戦姫は、この平泉の英雄と化していた。
貴女はそれを酷く厭うけれど。
謙遜なさる必要はない。
私は素直にそう思います。
「銀っ!」
貴女は私の名を呼び、こちらに駆けてくる。
私が平重衡であると分かった後も、彼女は私を銀と呼んでいる。
理由は、よく知らない。
彼女は話そうとはしないから。
颯爽と地を蹴る彼女の足元には、金が元気よく飛び回っている。
どうやら金の散歩途中だったらしい。
「奏多様……そんなにお慌てにならずとも、私は逃げたりはしませんよ」
「あ、そうだよね。つい走ってきちゃった」
ねー、金、と屈み込んで金に満面の笑みを向け、金の体を撫でてやる。
奏多様の指先が心地良いのか、金は気持ちよさそうに目を細めている。