あなたは私を知らなくても
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九郎さんは一瞬目を見開いてから、静かに目を伏せた。
そんな九郎さんの態度に、私は内心驚きを隠せなかった。
てっきり私は九郎さんに怒鳴られるとばかり思っていたから。
押し黙る九郎さんの姿に胸が締め付けられる。
でも、決めたんだ。
平家に行くのだと。
「源氏の軍も、抜けます」
「……」
「もう、源氏の軍には戻るつもりはありません」
はっきりと言葉にすれば、自分の取る行動の重さがずっしりと伝わってくる。
それだけのことを、私はなそうとしているのだ。
でも、一つだけ希望を残していくことを許して欲しい。
それを糧に、私は戦い抜くと誓うから。
「でも、全てが終わったら──また、九郎さんのところへ戻ってもいいですか?」
私は九郎さんが好きだ。
今までも、今も。
そしてこれからもずっと。
あなたを裏切る私を許してくれるのなら。
またあなたのところへ還らせて欲しい。
あなたと二人で笑いあえる未来が欲しい。
我が儘だと分かっている。
都合が良すぎると知っている。
それでも、願わずにはいられない。