あなたは私を知らなくても
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「私お手製ケーキです。今回は甘さ控えめにしましたから、たくさん食べても大丈夫ですよ」
「そうか!今日は本当に至れり尽くせりだな!」
「ふふ、九郎さん、なんだか子供みたいですよ?」
「…!ま、まぁお前にしか見られていないのなら別に構わん。お前はそのことでからかったりしないからな」
少し頬を赤く染める九郎さんに、私はくすくすと笑う。
そんな私から視線を逸らして、九郎さんはもくもくとカレーを口に運ぶ。
いつもは一人で食べていた食事も、こうして二人食べると本当に美味しくて幸せな気持ちになる。
そして目の前に座っているのが、自分の大好きな人ならなおさら。
「そうだ、九郎さん、明日望美たちが一日遅れの誕生会を開いてくれるみたいですよ」
「そうなのか?わざわざ悪いな、俺のために皆に集まってもらうというのも」
「気にしなくていいと思いますよ?みんな九郎さんの誕生日っていう口実ではしゃぎたいだけだと思いますから」
「…それはそれで複雑だな」
「あ、そうですね…!ごめんなさい」
何気ない会話を交わして、九郎さんの誕生日を過ごす。
今日くらい二人で過ごせば、と言ってくれた幼馴染みに感謝して。
私は自分で作った甘いカレーを口に運んだ。
きっとあなたは知らない
笑顔の裏で
私があなたとの幸せな日々に
怯えているということ
でもあなたは知らなくていい
そう望んだのは
他でもない、私自身だから──
《終》