理想と現実のはざまで
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いくつ季節が巡って
幾年年月を重ねても
私はずっと、忘れずにいるよ
あなたと二人で見た、
あの満開の桜を──
《籠を抜け出してお花見》
春の匂い。
柔らかな風。
麗らかな陽気。
それとは対照的に、私の心はどんよりとしていた。
それもこれも九郎さんのせいなのだ。
ちょっと一人で怨霊を封印しに行ったから、という理由で謹慎処分(しかも一週間!)を言い渡されてしまったのだ。
今の時期の九郎さんは女子供が剣を持って戦場に立つ、ということを快く思っていない。
どうやら率先して行った私の行動は、そんな彼の逆鱗に触れてしまったらしい。
そんなわけで私は仕方なく自室で引きこもり生活を送っている。
窓の外にちらつく桜色。
ああ、今頃きっと京の桜は満開になっているんだろう。
今の私には、ただそれを焦がれるくらいしか出来ないのだ。
私の拭い去れない非力さはこんなところにも見え隠れする。