髪を下ろしたあの人は
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だだだだだ───
ほら、彼女が目を覚ましたみたいだ。
お世辞にも静かでおしとやかとは言えない派手に階段を駆け下りる音。
それは彼女が取り繕う余裕もないくらいに焦っている証拠。
そして彼女が探しているのはオレだ。
雨の日になると、彼女はいつもらしくもなく取り乱す。
それはオレが植え付けてしまった一種のトラウマのようなものなのかも知れない。
「景時さん!」
勢い良くリビングのドアが開けられたかと思うと、次の瞬間には彼女──奏多ちゃんの腕に抱き締められていた。
女の子だからそんなに力は強くない。
それでもそれが奏多ちゃんの精一杯だということがひしひしと伝わってくる。
「良かった…良かった、景時さん…」
オレの胸に顔を埋めて、小さく震える彼女を優しく抱き締める。
まるで壊れ物でも扱うように。
そうしないと、本当に彼女が壊れてしまうんじゃないかと不安になる。
それほどに、今の彼女は不安定だから。