髪を下ろしたあの人は
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何度君を傷付けただろう
何度君に嘘を吐いただろう
何度君を裏切っただろう
君という美しく清らかなる存在に
あまりに不釣り合いな醜い自分
それでも君は
いつだって傍に居てくれた
だからもう二度と
君の傍からから離れたりしない──
《雨音が聞こえないくらいに》
リビングの窓から空を見上げれば曇天。
灰色の分厚い雲の間から大粒の雨が地面を叩き付ける。
先程までそれほど激しいものではなかったけれど、少しずつ雨の勢いが増していた。
それに伴って、徐々に罪悪感が込み上げてくる。
もうとっくに許されているはずなのに、オレは勝手に自分で自分を苦しめている。
まだ時は問題を解決してくれそうにない。
上の寝室でまだ眠っている彼女がこの雨の音に気付いて起きるまで時間の問題だろう。
それまでにオレはいつも通りの笑顔を取り戻しておかなければ。
彼女の悲しむ顔を見るのが何よりも辛いから。
これは彼女に対する欺きでも何でもない。
純粋な彼女への誠意だ。
彼女の傍にいられるなら、彼女の笑顔を見られるなら。
これくらいのこと、辛くもなんともないんだから。