理想と現実のはざまで
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だけど彼女は源氏に勝利を導く戦女神。
鎌倉殿の命とあっては、彼女を伴わないわけにはいかない。
“私なら、大丈夫ですよ”
そう言って嫌な顔一つ見せずに僕達に力を貸してくれる奏多さんに、僕はいつも胸を痛めていた。
過去の僕の行動によって運命を歪められ、巻き込まれてしまったことも知らず、彼女はいつだって僕に屈託のない笑顔を向ける。
その笑顔に僕がどれほど心を揺さぶられているかも知らずに。
「だけど…ごめんなさい。さすがにプレゼントを戦場に持ってくるわけにはいかないかなって思って…あ!ちゃんと準備はしてるんですよ!」
「プレゼント…あぁ、贈り物のことですね。そんな気を遣ってもらわなくても──」
「私が何かしたかったんです。弁慶さんにはいつも本当にお世話になってるし…」
そう言って奏多さんは表情を曇らせる。
確かに、いつも彼女は怪我をしては僕のところへやってくる。
望美さんには内緒で怨霊退治をしては、怪我をしているような気がする。
彼女は決して弱くはない。
むしろ強い方だと思う。
一対一で仕合をしたなら、僕や九郎でも彼女に勝つのは難しいくらいだ。
そんな彼女が怪我をするのだ、余程の無茶をしているに違いない。