理想と現実のはざまで
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はらはらはら
純白の結晶が空から舞い落ちる
いつもは疎ましく感じていた
その風景でさえ
君がいればこんなにも
美しいものになるから──
《純白の祝福》
「お誕生日おめでとうございます、弁慶さん」
戦場の陣中。
皆が寝静まり始めた頃、彼女はいきなりそう言った。
あまりにも唐突なものだから、彼女が何を言っているのか一瞬理解出来なかった。
そういえば彼女達の世界では生誕の日を祝う風習があるのだと、いつの日か望美さんがそう言っていたような気がする。
大して興味がなかったから、その場は聞き流していたけれど、まさか自分が実際にその立場に立たされようとは思いもしなかった。
それもこんな夜更けに、奏多さんから。
「ありがとうございます、奏多さん。そういえば今日は僕の誕生日ですね」
「はい!絶対に一番にお祝いの言葉を伝えたくて」
そう言って無邪気に笑う彼女は、あまりにもこの戦場には不釣り合いな存在であるように思われた。
あどけなくて、幼さをまだ少し残していて。本当ならこんな血生臭い戦場になど連れてこず、屋敷で帰りを待っていて欲しい。
それが僕達の、僕の願いだった。