あなたは私を知らなくても
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凍える指先
伸ばせない腕
近くにいるのに遠い
ねぇ、どうすれば
私はあなたの瞳に映る?──
《足りないぬくもり》
あなたと初めて出会ったのは冬。
純白の雪に染められた宇治川の戦場。
あまりにも有名な武将、源九郎義経。
そして一方は得体の知れない奇抜な服に身を包んだ小娘。
あまりに接点のない私達。
だけど、かけ離れているからこそ、惹かれるものがあったのかも知れない。
私が九郎さんに惹かれるのに、長い時間は必要なかった。
そして、季節はまた巡った。
時間が流れるのは、本当に早かった。
この世界の生活に慣れるのはそれほどかからなかったけれど、剣術を覚えるのに時間がかかった。
生き残るためには、力が必要だった。
望美の傍に、九郎さんの傍にいるためには強くならなければならなかった。
初めは望美との実力差がかなり開いていたけれど、今はだいぶ縮まった、と思う。
みんなには内緒で、夜にこっそり練習したりしていたし。
そのおかげで、九郎さんにも認めてもらうことが出来た。
私は白龍の神子ではないから、八葉は私を守る必要はない。
だけど、この前の戦で九郎さんは私に言ってくれた。
お前は絶対に俺が守る──
あの言葉の真意はよく分からない。
ただ私が九郎さんに密かに抱いている想いとかけ離れたものであることだけは確かだと思う。
だって、九郎さんは望美のことが好きだから。
九郎さんをずっと見てきたのだ。
私も色恋沙汰に関しては得意な方ではないけれど、何となく分かる。
九郎さんの私と望美に対する態度が全く違うから。
遠慮されている。
そんな風に感じることがある。
まるで腫れ物にでも触るような。
望美にはそんな態度、一度もとったことはないのに。
戦場では背中を守りあって。
屋敷にいる時には一緒に鍛錬をして。
言いたいことは何でも口にして。
衝突することもよくあるみたいだけど、私はそういう関係をとても羨ましく思う。