あなたは私を知らなくても
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女の武器は笑顔と涙だと、この世界で気付かされた。
汚れていく自分を認識した時、どんな手段でさえ駆使してやろうと思った。
なりふり構ってなんていられなかったから。
何度、心なんてなくなってしまえ、と願ったか。
心なんてなかったから、こんなに辛い思いなんて、しなくてもよかったのに、って。
でも、そんな中で、いつも九郎さんが私を人間に押し止める。
私に無償の優しさと愛をくれる。
だから私はいつまでもふらふらと迷う。
自分が下した決断に、後悔ばかりしている。
大切な幼馴染み一人救えずに、何が神子だ、英雄だ。
元の世界にいた時の、何も出来ない頃の私から、何一つ変われていないじゃないか。
「奏多、お前が俺達に何かを隠しているのは知っている」
「…!」
予想もしていなかった言葉に、私は思わず息を飲む。
明らかに動揺してしまったけれど、それでも私の感情の変化に九郎さんが気付くことはない。
自分の気持ちを押し隠すことだけは、仲間の誰よりも得意になったから。
私の感情の起伏と変化に気付くことが出来るのは、今はもういない幼馴染みだけだから。