理想と現実のはざまで
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肩に感じる重みが、とても心地良い。
大立ち回りを演じたせいで身体は鉛のように重いのに、少しも苦痛に感じない。
寧ろじわじわと幸せで暖かい気持ちで胸が一杯になる。
明日から、やっと新しい日々が始まる。
時空を越える日々は、今日で終わりを告げるのだ。
この事実を、彼にはまだ話していない。
ううん、もう、話す必要もない。
だって、私はこの運命を、ずっと歩んでいくら。
隣にいる、彼と一緒に。
ふと視線を落とせば、堅く閉じられた瞼。
それを縁取る蜂蜜色の長い睫毛が本当に綺麗で、つい見惚れてしまう。
ぴくり、とも動かない彼に、私は頬を緩める。
疲れて眠ってしまう程、彼は私の願いの成就の為に尽力してくれたのだ。
「弁慶さん、ありがとうございます」
彼はこの言葉を聞いているだろうか。
それとも、もう夢でも見ているんだろうか。
でもどっちだっていい。
私は自分の今の気持ちを正直に口にした。
恥ずかしくて、ちゃんと言葉にした事は、今まで一度も無かったけれど。
今、どうしても貴方に伝えたい。
「弁慶さん、私は貴方が誰よりも大好きです──」
貴方にちゃんと届いただろうか
意識を超えて
無意識に浸透する程
穏やかな貴方の表情に
私の声はきっと届いた
そう、信じさせて──
《終》