幾千の繋がらぬ運命を越えて
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私は知盛の言葉に耳を疑う。
──私の願いが叶えられた?
何度時空を越え、何度運命を上書いても、それを見ることはかなわなかった。
だが知盛は、今目の前にいる知盛は私の願いが叶うその瞬間を見届けているのだ。
「……みんな、幸せそうだった?」
私は身体の力が急激に抜けてゆくのを感じながら、その重みを知盛に預けた。
私の様子に知盛は小さく笑った。
「それが、お前の“願い”だったんだろう?」
優しい笑顔で頬に触れられて、私の内で何かが弾けるのを感じた。
大粒の涙が頬を伝う。
その雫を知盛は指先で拭い、私の躯を抱き締めた。
いつの頃からか流れなくなった涙。
あなたが海へ還ったその時も頬を伝わなかったものに、私は驚きを隠せなかった。
自分の手を頬にやり、涙の粒に触れる。
あたたかい──
何故か素直にそう感じた。
今まで涙なんて、冷たいものだとばかり思っていたのに。
私の手を包み込むように、知盛の手が添えられる。
「ありがとう」
「?……俺は感謝されるようなことは何もしていないぜ」
「ううん。ありがとう、なんだよ。あなたは此処に来てくれた……それだけで十分だから」
涙はまだ止まらなかったけれど、私は笑顔をつくった。
「ありがとう」って感謝の気持ちを伝えるのに、泣いた顔だなんておかしいから。
知盛に支えられて、私は状態を起こした。
「ずっとあなたを探してた……やっと……やっとあなたは自由になれたんだね」
私は自分の逆鱗ごと、知盛の逆鱗に触れた。
手の平に温かさが広がるのを感じる。
「それだけで……お前は満足か? 」
「知盛……?」
「確かにお前の“誰もが幸せになれる運命”は成し遂げられた。だが、お前の真の願いはそれだけじゃないだろ?あの時空で語らなかったお前の思いを聞かせてくれよ……」
「私の……思いは──」