理想と現実のはざまで
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彼女の横に立ち、彼女が見上げる空を同じように見上げる。
彼女が今見つめる蒼穹と、僕の瞳に映る大空は果たして同じものなのだろうか。
らしくもなく、そんな事を考える。
きっと僕の空の空と彼女の空は違うものだ。
何故なら僕は
こんなにも悲しい色をした空をかつて見た事がない──
奏多さんの見る空は、僕が見れば目も開けていられない程、きらきらと煌めいているのだろう。
いや、そうであって欲しいと願わずにはいられない。
少しずつ霞む視界に、心で舌打ちをする。
何故、今。
此処で過去の報いを受けなければいけないのか。
せめてもう少し。
我が儘だとは理解しているけれど、彼女が待ち望んでいた世界を見たかった。
もう少し、彼女の隣にいたかった。
致命傷、だった──
一瞬の油断。
それが命取りで。
奏多さんが僕を呼んだような気がして振り返ってしまった。
遠い場所で戦っていた彼女の声が聞こえる筈などないのに。
深々と僕の体を貫く刃を、僕はまるで人事のように見下ろしていた。