理想と現実のはざまで
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だけど、違った。
私の予想はいとも簡単に覆される。
優しい声と共に頬に触れる冷たい指先の感触。
私は思わず目を見開いて柱から自立する。
「ええ、僕ですよ。もしかして、僕の事を待っていてくれたんですか?」
視界に飛び込んできたのは闇夜の中でも淡く輝く柔らかい蜂蜜色の髪。
同じ色をした双眸。
「べ、べ、弁慶さん!?」
言葉と同時にぱさり、と何かが落ちる音。
音の方へ目をやれば、弁慶さんの外套があった。
どうやら弁慶さんは私が風邪を引かないように外套を掛けていてくれたらしい。
私の事なんて気遣ってくれなくてもいいのに。
薄着でずっと縁側にいたのは私の意志なんだし、もしも風邪を引いてしまったとしても、それは自業自得だ。
だって。
だって。
私なんかより、弁慶さんの指先の方がよっぽど冷たいじゃないか──
私は勢いよく外套を鷲掴みにして、それで弁慶さんを包み込んだ。
「奏多さん!?」
「ありがとうございます。でも弁慶さんの方がずっと冷たいじゃないですか!!」