幾千の繋がらぬ運命を越えて
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「白龍の逆鱗──!?」
どうして知盛が白龍の逆鱗を持っているのか。
いつかのどこかの運命の「奏多」が知盛に殺されて、逆鱗を奪われてしまったのだろうか。
でもそれならば知盛は逆鱗の使い方を知らないはずだ。
だが知盛は時空を越えて私の元へやってきた。
そして逆鱗が時空を越える力を持つことを知っている。
つまりは「奏多」が意図的に知盛に逆鱗を託したと考えるのが妥当だろう。
リズ先生が知盛に逆鱗を渡したとは考えにくい。
「クッ……お前が動揺している顔など初めて見たな。聡いお前のことだ、もう分かっているんだろう?お前自身が、俺にこの逆鱗をた託した、と」
予想は外れてはいなかったが、当たっても嬉しくはない。
それどころか何故自分が知盛に逆鱗を渡したのかが分からない。
そんなことをしたら、知盛に逆鱗を渡してしまったら。
私は時空を越えることができなくなる。
そうなってしまえば、私の願いが叶えられなくなる。
“誰もが幸せになれる運命”をつくること。
その願いの為に今まで必死に戦ってきたのに──
私は知盛を睨み付けた。
何故あなたが私の願いの成就を妨げるのか。
あなたにだけは邪魔されたくなかったのに。
「いい瞳を……するじゃないか……お前は一体どれ程の悲しみを抱え、乗り越えてきたんだろうな。今まで見てきた“お前”の中で、今のお前が一番彼岸を見たことのある者の瞳に近い」
「何が……言いたいの?」
私は冷たく言い放つ。
怯んではいけない。
ずっと聞きたかった声に惑わされてはいけない。
いつだってあなたは“私”を見てはくれなかった。
見てくれたのは、私の“剣”だけ。
確かに剣も「私」という存在を構成している一つの要素であるということに変わりはない。
だけど私はもっと私を見て欲しい。
我儘だと分かっていても、あなたに生きていて欲しかった、側にいて欲しかった。
私だけを見て欲しかったのに。
「随分とまあ冷たい事だ……あの時空のお前は情熱的で己の欲望に忠実だったんだがな──いい加減、自分を赦してやれよ。お前の願いは叶えられた。お前自身が幸せになっても、誰もお前を咎めたりしないぜ?」