髪を下ろしたあの人は
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そう言って、景時さんはふわり、と優しい笑みを浮かべる。
二人きりの時にだけ見せてくれる無防備な微笑み。
幸い今はみんな自分のことに集中しているから、こちらを見てはいないようだった。
まだ、みんなには内緒にしておきたいんだ。
我が儘だけど、独り占めにしていたい。
「こうなったらいいな~、とか。そんな曖昧なことでもいいんじゃないかな。オレなんて、晴れの日がいっぱい増えて洗濯出来ますように、って書いたんだよ」
「ふふっ……洗濯って、景時さんらしいですね」
「でしょ?でも間違いなくオレの願い事の一つだからね。だから奏多ちゃんも気負わずに書いてみなよ。書けたらオレが笹に結んであげるよ」
「はい。一番高い場所に結んで下さい。願いが叶うように」
「うん、任せて!」
私は止めていた手を漸く動かして、さらさらと筆を髪の上に滑らせた。
景時さんの言葉で願いは決まった。
願いをタダで叶えろ。
なんてそんなことは言わない。
少しでも力を貸して下さい、の気持ちを込めて。
景時さんの願いが叶いますように──
星に願いを込めて
祈りを捧げて
誰かのための願いを
どうか聞き届けて──
《終》