あなたは私を知らなくても
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今この時間が現実だって事は分かってる。
何度も何度も運命を越えて。
私はやっと彼と共に何の憂いもなく過ごせる日々を手に入れた。
でも、時々どうしようもなく不安になる。
私達が突然あの異世界の京に呼ばれたように、いつかまた突然九郎さんがあの世界へ帰ってしまうんじゃないかって。
それをもしも口にしたら、九郎さんは“そんな訳ないだろう”って笑いとばすんだろうけど。
相変わらず臆病な私は怯えずにはいられないのだ。
だからこそ、私は“今”を写真に収めたいのかも知れない。
九郎さんが私の隣にいる事実を証明したくて。
形にしたくて。
私が何気なく上を見上げれば、その瞬間世界が白になった。
それは、フラッシュの一瞬の光。
瞬きをすれば、すぐにいつもの世界に戻る。
「奏多、きっといい写真が撮れたぞ」
「どういう事ですか?」
「今これを覗いて見た世界で、お前が一番輝いていたからな」
何の恥ずかしげもなく言い放つ九郎さんに、言われたこちらが恥ずかしくなる。
それでも嬉しいのは真実で。
「被写体が良いんだから当然です」
なんて冗談めかして言ってみたけれど。
でも、九郎さんの撮った写真の私は、きっとすごくいい表情をしているに違いない。
だって、九郎さんと一緒に居る時の私はとても幸せだから。
レンズ越しの世界はいつだって
真実だけを映し出す
きらきら貴方が輝くのは
本当に貴方が輝きを放っているから──
《終》